東京高等裁判所 平成2年(行ケ)101号 判決 1992年11月05日
大阪府門真市大字門真一〇〇六番地
原告
松下電器産業株式会社
右代表者代表取締役
谷井昭雄
右訴訟代理人弁理士
松村修治
同
浅村皓
同
小池恒明
同
岡安一男
同
岩井秀生
東京都千代田区霞が関三丁目四番三号
被告
特許庁長官
麻生渡
右指定代理人
嶋田祐輔
同
渡部利行
同
奥村寿一
同
廣田米男
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告
「特許庁が昭和六一年審判第二三二一九号事件について平成二年二月一五日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決
二 被告
主文と同旨の判決
第二 請求の原因
一 特許庁における手続の経緯
原告は、昭和五五年九月一九日、名称を「光学情報記録再生装置のトラツク検索装置」とする発明(以下「本願発明」という。)について特許出願(昭和五五年特許願第一三〇九四二号)をし、昭和六一年九月二六日、拒絶査定がされたので、同年一二月三日、これに対して審判請求をし、同年審判第二三二一九号事件として審理され、昭和六三年一一月二四日、同年特許出願公告第六〇四四九号をもつて出願公告がされたが、特許異議の申立てがされ、平成二年二月一五日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決がされ、その謄本は同年四月一二日、原告に送達された。
二 本願発明の要旨
(イ)運続的に一様深さの溝状のトラツクに情報を記録する記録材料を形成した光記録デイスクに光ビームを照射するレーザー光源と、(ロ)光ビームを単一の微小スポツト光として前記トラツクに照射する集光手段と、(ハ)前記微小スポツト光を前記トラツクに追従せしめるトラツキング手段と、(二)前記集光手段を所定のトラツクに移送するトラツク検索手段と、(ホ)前記微小スポツト光が前記トラツクで回折された土一次回折光を受光する二分割受光手段と、(ヘ)前記微小光スポツトが横断したトラツク数を計数する横断トラツク計数手段とを有し、(ト)前記トラツク横断方向検出手段は前記二分割受光手段の二出力の和信号を基準にして、前記二分割受光手段の二出力の差信号との位相関係から前記微小スポツト光のトラツク横断方向を検出して、前記差信号と共に前記横断トラツク数計数手段に印加して前記トラツクの偏心による横断トラツク数の計数誤差を補正するようにしたことを特徴とする光学情報記録再生装置のトラツク検索装置(別紙図面一参照。なお、(イ)ないし(ト)は便宜付したものである。)
三 審決の理由の要点
1 本願発明の要旨は、前項記載のとおりである。
2 昭和五四年特許出願公開第九二一五五号公報(以下「第一引用例」という。別紙図面二参照)には、次の事項が記載されている。
<1> 情報を記録する記録材料を形成した光記録デイスクに光ビームを照射するレーザ光源1(別紙図面二第1図参照)と、
<2> 光ビームを微小スポツト光として前記トラツクに照射する集光手段(レンズ7)と、
<3> 前記集光手段を所定のトラツクに移送するトラツク検索手段(駆動素子18)と、
<4> 前記微小スポツトが円盤で反射されて戻つてきた回折光を受光する二分割光検出器と、
<5> 入力装置12の出力と番地読み取り回路13の出力より、アツプダウンカウンタ15のプリセツト値を算出する演算装置14を有し、アツプダウンカウンタ15は移動検出回路11からの移動量及び移動方向に関連した信号により動作すること、
<6> 二分割光検出器9a、9bの二出力の和回路24の出力から導かれた信号eを基準として、該光検出器の二出力の差回路25の出力の位相関係から前記微小スポツト光のトラツク横断方向を検出すること(第3図ないし第7図とその説明参照)、及び、演算回路14の出力に2n+1+A-Bをアツプダウンカウンタ15にプリセツトし、駆動してピツクアツプ装置4を移動するとともに、移動検出回路11により出力される記録円盤3上の記録トラツク20を横切つた信号と、ピツクアツプ装置4の移動方向の信号でアツプダウンカウンタ15を動作させれば、希望する番地、つまり入力装置12に入力した番地の記録トラツク20上に光ビーム2が来たとき、D-A変換器16の出力は零になり、駆動素子18が止まる(三頁右下欄参照)。
また、昭和五二年特許出願公開第一〇一〇二号公報(以下「第二引用例」という。)には、第1図(別紙図面三参照)にガイド溝(トラツク)の形成された記録媒体が図示され、五頁右上欄に光学的再生ができることが示されている。
3 本願発明と第一引用例に開示された事項とを比較すると、本願発明の(ロ)、(ニ)、(ヘ)、(ト)の構成要件は第一引用例に開示された<2>、<3>、<5>、<6>の構成に対応し、両者間に特に差異は見当たらない。また、本願発明の(ハ)の構成要件については第一引用例には明示されていないが、「トラツキング手段」を備えていることは光学情報記録再生装置では当然のことであり、この点に新規性はなく、かつ、他の構成要件との関連性も見出せないので、この点も第一引用例に開示されたものと同じであると認められる。
本願発明の(イ)の構成要件と第一引用例の<1>の構成とを比べると、
(一) 本願発明では「連続的な一様深さの溝状のトラツク」を設けたデイスクであるのに対して、第一引用例にはその点について明記されていないので一応相違しており、
本願発明の(ホ)の構成要件と第一引用例の<4>の構成を比べると、
(二) 本願発明では「トラツクで回折された±一次回折光」を受光するとしているのに対して、第一引用例にはその点について明記されていない点で相違する。
4 相違点(一)について検討すると、一般にトラツクといわれているものとしては、一連のビツト列で形成される概念的なものと物理的に形成された溝状のもの、その他があるが、本願発明のように「連続的な一様深さの溝状トラツク」もそれ自体は公知であり、第二引用例に示されている。そして、第一引用例にも「トラツク」という言葉は明記されており、いずれの種類のトラツクであろうとトラツク検索装置において必要なトラツクの考え方に格別の差異はないものと認められる。そして、審判請求人(原告)の主張も結局は溝状トラツクを設けることにより効率良く検出できるというにとどまり、それ以上のものはないので、この点は第一引用例及び第二引用例に開示されたものから容易に推考しうると認められる。
次に相違点(二)について検討すると、トラツクが溝状に形成されている場合はビツト列と同様にその部分が回折格子とみなせることはこの技術分野では常識であるから、その部分で反射されて戻つてくる光ビームが回折光であることはもとより、トラツキングのために±一次回折光が使われること、更にはトラツクの有無の検出にこの±一次回折光が用いられることは技術常識であると認められる。
因みに、本件出願前に公知となつている昭和五五年特許出願公開第四二三九三号公報(以下「第三引用例」という。)をみると、F1G・5に〇次光と±一次回折光が図示されており、四頁左下欄に「情報構造は、読取ビームを無回折〇次サプビームと、多数の一次サプビームと、多数の高次スペクトルのサプビームとに分割する回折格子とみなすことができる」と書かれており、凹部が回折格子の役割をすることが示されている。
5 以上のとおりであるから、本願発明は、第一引用例及び第二引用例に開示された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものと認められるので、特許法二九条二項の規定により特許を受けることができない。
四 審決の取消事由
審決の本願発明の要旨、第一引用例の記載内容(ただし<4>の認定は争う。)、第二引用例の記載内容、本願発明と第一引用例記載の発明との一致点(ただし、(ホ)と<4>、(ト)と<6>が一致することは争う。)及び相違点の認定は認めるが、相違点に対する判断は争う。
審決は、第一引用例例の記載内容の認定を誤り、もつて本願発明と第一引用例記載の発明との一致点の認定を誤り、また、本願発明と第一引用例記載の発明との相違点に対する判断を誤り、もつて本願発明の進歩性を否定したものであり、違法であるから取消しを免れない。
1 一致点認定の誤り(一)
審決は、第一引用例記載の発明においては、「<4>前記微小スポツトが円盤で反射されて戻つてきた回折光を受光する二分割光検出器」を備えるものと認定し、第一引用例記載の発明が回折光を用いるものである点において本願発明と一致することを前提として、その構成と本願発明の(ホ)の構成とを対比している。
しかし、第一引用例には、「光ビーム(2)の記録円盤(3)上よりの反射光」(二頁左上欄一五行ないし一六行)、「光ビーム(2)の記録円盤(3)上での反射光を光検出器(9)により受光し」(同頁左下欄一四行ないし一六行)及び「(22)は記録円盤(3)上の記録トラツクと記録トラツクとの間の未記録部での反射光、(23)は記録円盤(3)上の記録トラツク(20)での反射光であり」(同頁右下欄六行ないし九行)と記載されているところからみて、微小スポツトが円盤で反射されて戻つてきた光は「反射光」であり、審決が認定しているような「回折光」ではない。
このことは、第一引用例の第1図、第3図及び第4図において、記録円盤上よりの反射光は二分割光検出器9上に結像していることから、和、差信号の検出に回折光を用いていないことは明らかである。
更に、第一引用例記載の発明の出願当時、この種記録円盤上に記録する周知の記録形態として、<1>単層、穴あけ型、<2>二層、穴あけ型、<3>相変化型、<4>膜変化型があるが、いずれも記録ビツトと記録ビツトのない部分との反射率の差で記録されており、読取りのため回折光を用いてはいないことに照らしても、第一引用例記載の発明は、反射光を用いるものであり、回折光を用いるものではないということができる。
したがつて、審決が第一引用例記載の発明において微小スポツトが円盤で反射されて戻つてきた光が「回折光」であると認定したことは誤りであり、よつて、本願発明の(ホ)の構成と第一引用例記載の発明の<4>の構成とが回折光を用いる点で一致するとした審決の一致点の認定は誤りである。
微小スポツトが円盤で反射されて戻つてくる光が回折光か反射光かにより、円盤で反射されて戻つてきた光を受光する光学系が異なつてくる。
すなわち、第一引用例記載の発明においては、トラツク20からの反射光23は、トラツクの記録面の像をレンズ7と光検出器9の位置関係で決まる倍率で結像(近視野結像)する結像光学系を用いるのに対し、本願発明では、連続的な一様深さの溝状トラツクである位相物体の検出に遠視野像(レンズ焦点から充分離れたフランホーフアー回折領域像)を使用する位相差検出光学系を用いている(別紙図面一第3図参照)。
第一引用例記載の発明の結像光学系では濃淡記録されたトラツクが検出できるに止まり、溝状トラツクの検出はできないのに対し、本願発明の位相差検出光学系では溝状トラツクの検出ができ、記録するために溝状トラツク未記録部分の任意の位置にランダムアクセスしてそこに記録できるといつた格別の作用効果を奏するものである。
したがつて、前記一致点認定の誤りは審決の結論に影響を及ほすものであり、この点において既に審決は取消しを免れない。
2 一致点認定の誤り(二)
審決は、本願発明の(ト)の構成と第一引用例記載の発明の<6>の構成とが一致する旨認定している。
しかし、第一引用例記載の発明における、微小スポツト光のトラツク横断方向を検出するにっき、二分割光検出器9a、9bの「二出力の和回路24の出力から導かれた信号eを基準とする」ことと、本願発明における、トラツク横断方向検出手段を二分割受光手段の「二出力の和信号を基準にする」こととは構成が異なるものである。
第一引用例記載の発明においては、記録した信号からなるトラツク(20)の反射光23は、トラツクの記録面の記録ビツトをレンズ7で光検出器9上に結像したもので、信号は、前述のとおり、記録ビツトと記録ビツトのない部分との反射率の差で記録されるから、和信号は反射光の強度がビツト単位で変化する高周波信号となる(別紙図面二第5図(e)、第7図(h)参照)。
この信号の包絡線は、ビツトの中心でピークとなるから、和信号出力を低域通過フイルタで検波して、その包絡線信号を導き、これをトラツク中心基準位置として横断トラツク方向を検出している。
一方、本願発明の二出力の和信号は高周波信号がないので、低域通過フイルタで検波することは不要で、そのままトラツク中心位置としてトラツク横断方向を検出することができる。
第一引用例記載の発明のように、低域通過フイルタを用いる場合、記録ビツト部と未記録ビツト部とがレーザ光スポツトよりかなり長くなると低域通過フイルタからピーク値を検出できない場合が発生して、検索に誤差が生ずるものである。
このように、本願発明の和信号と第一引用例記載の発明の信号eは高周波信号を含むか否か、それにより低域通過フイルタを必要とするか否かの点で大きく違つてくるものである。
それにもかかわらす、審決はこれらを一致する構成のものと認定したものであり、誤りである。
3 相違点(一)に対する判断の誤り
審決は、相違点(一)に対する判断において、第一引用例記載の発明における一連のビツト列で形域されたトラツクと、本願発明における連続的な一様深さの溝状トラツクも格別の差異はない旨認定し、もつて本願発明において連続的な一様深さの溝状トラツクを採用することは、「トラツク」という言葉を明記している第一引用例及び連続的な一様深さの溝状トラツクを開示している第二引用例から当業者が容易に推考することができる旨判断している。
しかし、後述のように、トラツクの形態は検索の機能等に大きく影響するものであり、「いずれの種類のトラツクであろうとトラツク検索装置において必要なトラツクの考え方に格別の差異はない」との審決の判断は誤りであり、その判断を根拠とする相違点(一)に対する判断は誤りである。
すなわち、まず、第一引用例のビツト列で形成されているトラツクでは、光ビームの直径はビツト部と同じサイズであるので、光ビームがトラツクを高速で横断すると、光ビームがビット部とビツトなし部をほぼ同じ確率で通過することになる。光ビームがビツトなし部を横断すると、信号が検索されないのでトラック横断が検出されないこととなり、カウント誤差が生じ、それを抑えるために光ビームの移送速度を遅くすれば検索の高速化を阻害するように、トラツクの形態は横断トラツク計数精度や検索時間に大きく関係するものである。
また、第一引用例ビツト列で形成されたトラツクでは、記録円盤上に記録された記録トラツクを検索して再生するのみで、ディスクの未記録部分にランダムアクセスしてそこに記録するということはできないのに対し、本願発明の連続的な一様深さの溝状トラツクでは任意のトラツクへランダムアクセスしてそこに記録することが可能である等、トラツクの形態は、任意のトラツクへのランダムアクセスの可否に影響するものである。
また、第二引用例の連続的な一様深さの溝状トラツクであるガイド溝は、記録、読出しに際して記録エラー、読出しエラーのないようにトラツキングのために用いるものであり、記録するために溝状トラツク未記録部分の任意の位置へランダムアクセスしてそこに記録するものではない。
したがつて、第一引用例及び第二引用例に開示されたものから本願発明の「連続的な一様深さの溝状トラツク」を推考することは容易ではなく、これを容易とする審決の判断は誤りである。
4 相違点(二)に対する判断の誤り
審決は、相違点(二)に対する判断において、トラツクの有無の検出に±一次回折光が用いられることは技術常識であると認められると判断している。
しかし、第三引用例には、位相構造で記録した情報をその回折光(〇次光と±一次回折光)によつて読み出すものが記載してあるが、記録するために溝状トラツクを検索して溝状トラツク未記録部分の任意の位置にランダムアクセスして記録するものではない。すなわち、第三引用例には、トラツクを検索するためのトラツクの有無の検出に±一次回折光を用いる技術的思想は全くない。
また、乙第一号証(昭和五二年特許出願公開第六二〇三七号公報)には、凹凸刻印(位相構造)で記録した情報をその回折光により読み出すとともに回折光によりトラツキングするものが記載してあるが、これも、記録するために溝状トラツクを検索して溝状トラツク未記録部分の任意の位置にランダムアクセスして記録するものではない。
よつて、トラツクの有無の検出に±一次回折光が用いられることは技術常識ではない。まして、本願発明のようにトラツクの横断方向の検出に±一次回折光が用いられることは技術常識ではない。
したがつて、審決の相違点(二)に対する判断は誤りである。
第三 請求の原因に対する認否及び被告の主張
一 請求の原因一ないし三は認める。
二 同四は争う。審決の認定、判断は正当であり、審決に原告主張の違法はない。
1 一致点認定の誤り(一)について
第一引用例には、「反射光」という用語が用いられ、「回折光」という用語が用いられていないことは原告主張のとおりである。
しかし、審決においては、第一引用例記載の発明は、情報が記録される円盤状の記録媒体、すなわち、再生専用のデイスクであり、この主のものは、母盤からプレス加工により複製されるためビツト部(凹部)で情報記録が行われているのが一般的であるから、このビツト部で回折を受けて戻つて来た反射光という意味で回折光と記載したにすぎない。
この点は第一引用例の記載そのものに忠実ではないが、第一引用例の第3図及び第4図のビームスポツト21の径とトラツク巾(トラツクからの反射光23参照)の大きさの関係をみると、ビームスポツトの径は、トラツク巾のほほ二倍になつているので、回折光の読み取りにしないと、再生波形が歪んでピークの検出が困難になる。したがつて、第一引用例記載の発明においても回折光を用いているものと認めることができるので、審決の認定に誤りはない。
原告は、第一引用例の第1図、第3図及び第4図において、記録円盤上よりの反射光は二分割光検出器9の上に結像していることから回折光を用いていないことが明らかであると主張するが、それらの図面には何ら原告主張のことは示されていないものである。
仮に、第一引用例記載の発明においては回折光を用いるものと認定することができず、したがつて、審決の一致点の認定が正確ではないとしても、審決は相違点(二)として、本願発明における二分割受光手段と第一引用例記載の発明における二分割光検出器が受光する光については、前者が「トラツクで回折された±一次回折光」を受光するとしているのに対し第一引用例にはその点について明記されていない点で相違すると認定し、それに対して判断を示しているのであるから、第一引用例記載の発明における二分割光検出器が受光する光を「回折光」と記載したことは、単に表現上正確さを欠いたというものにすぎず、何ら審決の判断、結論に影響を及ほすものではない。
2 一致点の認定の誤り(二)について
溝状連続トラツクに情報が記録されていない場合は、その回折光に高周波信号成分を含まないとしても、そこに情報が記録されていれば当然に高周波信号成分は含まれるものである。
本願発明の公報の第5図にはフイルタ35、36が図示されており、発明の詳細な説明にも「所要信号成分のみを通過するフイルタ35、36」(公報七欄二〇行、二一行)と記載されていることからも明らかである。
したがつて、原告の主張はその前提において誤つているものであり、理由がない。
3 相違点(一)に対する判断の誤り
原理的には、原告主張のとおり、トラツクの形態は横断トラツク計数精度や検索時間に関係するものではあるが、実際には、原告の主張するような光ビームがビツトなし部を横断するような現象が生ずるほど高速な検索は考えられないし、雑音等の影響によりトラツクでない部分をトラツクと誤つて検出してしまう危険もあるから、数個のパルスを受けてトラツクと判断する方が普通の方法である。本願発明においても公報の第5図でフイルタ35、36が使われているのである。
そして、溝状案内トラツクを用いれは高速検索が可能となること自体は乙第二号証(「IEEE speotrum」一九七九年八月発行)からも明らかである。
原告主張の点は単なる設計上の問題たるに止まり、トラツクについての技術的思想上格別のものではない。
また、原告の主張する本願発明の溝状のトラツクは未記録部分にランダムアクセスしてそこに記録することができるという効果は、公知の案内トラツクを設けたことによる当然の効果にすぎないものである。
したがつて、審決の、いずれの種類のトラツクであろうとトラツク検索装置において必要なトラツクの考え方に格別の差異はないとの判断に誤りはない。
4 相違点(二)に対する判断の誤り
トラツクの検出に±一次回折光を用いることが技術常識であることは、第三引用例のほか、乙第一号証(昭和五二年特許出願公開第六二〇三七号公報)によつても明らかである。同公報には、「各検出面からの信号出力和でビデオ信号を検出し、出力差でトラツキング信号を検出する」(二頁左上欄一一行ないし一三行)、「第2図にトラツク信号検出の原理を示す。刻印16-1のエツジをスポツト17が照明すると、光検出器9、10上で反射回折光強度分布は20のようになり、刻印16-2の場合には21のようになる。このように刻印の左右エツジの照射に対応して反射回折光の左右アンバランスが生じる」(二頁右上欄一〇行ないし一五行)と記載されているが、その20、21が±一次回折光であることは明らかである。
このように、一次の回折光が零次光に最も接近しており、振幅も大きく、二次、三次のものは零次光から隔たつており、振幅も小さいので無視してよいこともよく知られたことである。
原告は、乙第一号証や第三引用例には、トラツクを検索するためにトラツクの有無の検出に±一次回折光を用いる技術的思想はない旨主張するが、トラツキングということはトラツクの横断方向の検出に他ならないものである。
したがつて、相違点(二)に対して示した審決の判断に誤りはない。
第四 証拠関係
証拠関係は、本件記録中の書証目録記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。
理由
第一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、同二(本願発明の要旨)及び同三(審決の理由の要点)は、当事者間に争いがない。
また、審決の本願発明の要旨、第一引用例の記載内容(ただし<4>の認定は除く。)、第二引用例の記載内容、本願発明と第一引用例記載の発明との一致点(ただし、(ホ)と<4>(ト)と<6>は除く。)及び相違点の認定は、当事者間に争いかない。
第二 そこで、原告の主張する審決の取消事由について検討する。
一 成立に争いのない甲第三号証(特許公報)及び甲第四号証(手続補正書)によれば、本願発明の技術的課題(目的)、構成及び作用効果は以下のようなものであると認めることができる。
1 技術的課題(目的)
本願発明は、光学デイスクのような円板状の情報担体に情報を光学的に記録又は再生する光学情報記録、再生装置のための検索装置に係り、特に予め情報担体に形成された溝状の案内トラツクを持つ情報担体のトラツク検索装置に関する(公報一欄二二行ないし二欄三行)。
光学的情報記録再生装置としては、例えば光感応性材料を塗布又は蒸着した円板状情報担体を回転させておき、前記円板状情報担体にレーザー光源等からの光束を直径一μm以下に絞つた微小スポツト光として照射し、その光出力強度を記録信号で変調することによつて情報担体上に凹凸による位相変化、屈折率変化あるいは反射率や透過率の変化などの光学的特性変化としてリアルタイムでビデオ信号やデイジタル信号等の情報の記録が行え、かつ前記光学的特性変化を検出することにより記録した情報の再生が行える装置が提案されている。
かかる装置では、記録トラツクの高密度化、離散的な部分書き込みあるいは消去などの理由により記録しようとするトラツクを案内する案内トラツクを同心円あるいはスバイラル状に予め設けておき、前記案内トラツクに追従するようにトラツキング制御をかけながら定められたトラツクに情報を記録し、またそのトラツクから情報を再生する光学情報記録再生装置が考えられる。
本願発明の目的は、案内トラツクを光学的に識別しうるようにした円板状情報担体に情報を書き込んだり、円板状情報担体から情報を読み取る装置を提供することにあり、なかでも各トラツクに記録された情報を横断トラツク数を計数して高速検索する検索装置を提供することにある(二欄四行ないし三欄五行)。
また、一般に情報担体が装置に着脱されるとき、数十μmオーダーの偏心が生じるのは避けられない。この偏心の存在は、トラツク間隔が一μmないし二μmと非常に狭い光デイスクではトラツク検索走査の開始時と終了時のように走査速度が情報担体の回転速度に比して遅くなる場合に偽の横断信号が発生する。したがつて、偏心量が大きくなればそれだけ横断トラツク数のカウントの誤差が大きくなるという欠点がある。
本願発明は、前述の偽の横断信号を前記光検出器の二つの光電部の出力の和信号と差信号とで分離して正確な横断トラツク数の計数を可能ならしめて、良好な高速トラツク検索を行うことを目的とする(同欄二八行ないし四一行)。
2 構成
本願発明は、前記の技術的課題(目的)を達成するために、その要旨とする構成を採用した(手続補正書別紙)。
3 作用効果
本願発明の構成によれば、円板状の情報担体のトラツクの計数を正確に行うことができ、偏心の大小にかかわらず高速トラツク検索ができる。また、本願発明は、トラツク横断方向による差信号の位相反転とオントラツク時の和信号の減少及び和信号のピークと差信号の零交叉点の位相が情報担体の反射率の変化に関係なく一致するので安定な横断方向の検出ができ、良好な高速検出を可能とする(八欄三七行ないし九欄初行)。
二 一致点認定の誤り(一)について
原告は、第一引用例記載の発明においては、二分割光検出器が受光するのは反射光であつて、回折光ではないとし、本願発明と第一引用例記載の発明とは(ホ)と<4>の構成のうち、回折光を受光する構成で一致すると認定したことの誤りを主張する。
回折光とは、光が凹部等の回折格子によつて回折された光であり、反射光と同義ではなく、反射光に含まれることもあれば、反射光以外でも回折光はありうることは技術常識である。
そして、本願発明や第一引用例記載の発明における情報記録装置において、単なる反射光を受光するのと、回折光を受光するのとでは、それに必要な光学系が異なつてくるものであり、また、原告が主張するところの、単なる反射光にあつては、一様深さの溝状トラツクを読み取ることはできないことについては、被告も争わないところである。
そして、成立に争いのない甲第五号証(第一引用例)によれは、第一引用例には、「光ビーム(2)の記録円盤(3)上よりの反射光」(二頁左上欄一五行ないし一六行)、「光ビーム(2)の記録円盤(3)上での反射光を光検出器(9)により受光し」(同頁左下欄一四行ないし一六行)及び「(22)は記録円盤(3)上の記録トラツクと記録トラツクとの間の未記録部での反射光、(23)は記録円盤(3)上の記録トラツク(20)での反射光であり」(同頁右下欄六行ないし九行)と、光検出器で受光するのは「反射光」であると記載されており、それが「回折光」であることを示す直接的な記述はないことが認められる。
被告は、この点について、第一引用例の第3図及び第4図のビームスポツト21の径は、トラツク巾のほぼ二倍になつているので、図折光の読み取りにしないと、再生波形が歪んでピークの検出が困難になるとして、第一引用例記載の発明においても回折光を用いているものと理解することができる旨主張するが、回折光を用いることがピーク検出に有利な面があるにせよ、かかる情報記録装置において用いられる回折光等の光の種類は、用いられる光学系や情報記録の形態との関係で決定されることであり、被告主張の点のみから、当業者が第一引用例記載の発明は回折光を用いるものであると当然に理解するということはできない。
一方、原告は、第一引用例の第1図、第3図及び第4図において、記録円盤上よりの反射光は二分割光検出器9上に結像しているとして、第一引用例記載の発明においては回折光を用いるものではない旨主張するが、第一引用例の前記各図から原告主張のように記録円盤からの反射光が二分割光検出器上に結像していることを示しているものと認めることはできない。そして、前掲甲第五号証により第一引用例の記載内容を検討してみても、その第3図及び第4図において光検出器9上に示されている反射光23が、原告主張のような結像光学系を用いて結像させたものか、回折光によるものか区別をすることはできない。
結局、第一引用例からは、その発明において用いられる光が単なる反射光なのか、回折光であるのかを判定することはできない。むしろ、第一引用例は、原告主張の結像光学系を用いて記録ビツトと記録ビツトのない部分とで反射率の差を生じさせた反射光を受光するものとすることも、位相差検出光学系を用いて反射光たる回折光を受光するものとすることもできるのであり、その何れであるかは特に開示はしていないとみるのが相当である。
したがつて、審決が、第一引用例記載の発明においては「回折光」を用いるものと認定し、本願発明と第一引用例記載の発明とが回折光を用いる点で一致すると認定したことは誤りであるといわなければならない。
しかし、審決は、本願発明と第一引用例記載との相違点の認定において、相違点(二)として、本願発明では「トラツクで回折された±一次回折光」を受光するとしているのに対し、第一引用例にはその点について明記されていない点を挙げており、これに対して判断を示している。
この相違点(二)自体は、本願発明と第一引用例記載の発明とはともに回折光を用いる点で一致するとの一致点の認定を受け、ただ、用いる回折光が「±一次」のものと明記されているか否かの点を挙げたものである。
しかし、審決の理由の要点から明らかなとおり、審決は相違点(二)に対する判断においては、「トラツクが溝状に形成されている場合はビツト列と同様にその部分が回折格子とみなせることは常識であるから、その部分で反射されて戻つてくる光ビームが回折光であることはもとより、トラツキングのために±一次回折光が使われること、さらにはトラツクの有無の検出にこの±一次回折光が用いられることは技術常識であると認められる。」と判断し、単に「±一次」の点に関してのみならず、より基本的にトラツキングやトラツクの検出に回折光を用いること自体も技術常識であることも示していると認められる。
この判断が正当か否かは相違点(二)に対する判断の当否として後に判断することとするが、これにより、審決は本願発明において回折光を用いることを想到することが容易か否かをも判断していると認めることができる。
発明の進歩性の判断においては、出願に係る発明と刊行物に記載された発明等との一致点及び相違点の認定をした上、相違点に係る本願発明の構成の想到の容易性について判断をするという方法によるのが通常であり、本件審決もその方法によつているが、本来相違点と認定すべき構成を誤つて一致点と認定した傷合、その構成の想到の容易性について判断がされず、進歩性について正しい判断が得られないこととなるので、その審決の判断は誤りであり、審決は違法と評価されるものである。
しかし、本件においては、審決は相違点と認定すべき構成を一致点と誤つて認定したものの、相違点に係る本願発明の構成の想到の容易性については判断がされ、それに基づいて本願発明の進歩性の判断がされているものである。したがつて、前記一致点認定の誤りは、それ自体は審決の結論に何ら影響を及ぼすものではないというべきである。
したがつて、前記の一致点の認定の誤りを理由に審決の違法をいう原告の主張は理由がない。
三 一致点認定の誤り(二)について
原告は、第一引用例記載の発明における、微小スポツト光のトラツク横断方向を検出するにつき、二分割光検出器9a、9bの「二出力の和回路24の出力から導かれた信号。を基準とする」ことと、本願発明における、トラツク横断方向検出手段を二分割受光手段の「二出力の和信号を基準にする」こととは構成が異なり、高周波信号を含むか否か、及びそれにより低域通過フイルタを必要とするか否かについて相違なもたらすものであるにもかかわらず、これが一致すると認定したことの誤りをいう。
原告は、本願発明においてはトラツクは連続的な一様深さの溝状トラツクであるから、高周波信号成分を含まず、低域通過フイルタを必要としない旨主張する。
しかし、本願発明の連続的な一様深さの溝状トラツクでも、そこに情報がビツトにより記録されれば、その回折光に高周波信号成分を含むことは技術上自明であり、本願発明において当然に高周波信号成分が存在しないということはできない。そして、前掲甲第三号証によれば、本願発明の公報の第5図には、本願発明においても、差動増幅器22での差信号及び加算増幅器27での和信号は低域通過フイルタ35、36を通過させることが示されており、発明の詳細な説明においても「これらの信号は所要信号成分のみを透過するフイルター35、36によつて機器ノイズ等を除去した後」(七欄二〇行ないし二二行)と記載されていることが認められ、本願発明の和信号においても高周波信号成分が含まれることが明らかにされている。
したがつて、右の点についての一致点認定の誤りをいう原告の主張は、その前提において根拠のないものであり、失当である。
四 相違点(一)に対する判断の誤りについて
原告は、トラツクの形態は検索の機能等に大きく影響するとして、審決の相違点(一)に対する判断の誤りを主張する。
確かに、原告主張のとおり、トラツクの形態は横断トラツク計数速度や検索時間に大きく関係するものと認められる。
しかし、審決はトラツクの形態は何ら横断計数速度や検索時間と関係はなく、どのような形態のトラツクであろうと、機能上差異をもたらさないといつているものとは認められない。
審決は、「いずれの種類のトラツクであろうと、トラツク検索装置において必要な『トラツクの考え方』に格別の差異はないものと認められる」としていることから窺われるように、トラツクにはビツト列で形成されたもの等様々な形態があるが、いずれの形態のトラツクでも、照射きれた光を反射し、又は透過する等により光学的に情報を発するという、トラツク検索装置において果たす基本的機能においては変わるところがないといつているにすぎないものと認めることができる。そして、このことに誤りのないことはいうまでもなく、原告の主張は審決の理由を正解しないものというべきである。
そして、本願発明の「連続的な一様深さの溝状トラツク」も第二引用例に開示されていて公知であり(この点は原告も争わない。)、第二引用例に示されたような連続的、一様な深さの溝状トラツクは、検出すべき溝が連続であるため、トラツク検出に際し検出漏れがないことは、構成上一見して明らかであり、また、成立に争いのない乙第二号証(「IEEE speotrum」一九七九年八月発行)によれば、本件出願当時溝状トラツクを用いれば、アクセスの高速化を図ることができることが当業者に周知であつたと認められる。
また、トラツクの形態によつて、それを読み取ることができる光学系が異なつてくるが、トラツクの形態としてある形態のものを採用する場合、それを読み取ることができる光学系を採用すべきことは当然のことであり、前掲甲第五号証によれば、第一引用例記載のトラツク検索装置では、トラツク検出が可能であれば、情報記録形態やトラツク構成がどのようなものか問わないものであり、溝状トラツクでも、そこから反射する回折光を受光する周知の光学系を用い受光すれば溝状トラツクの採用も可能であると認められる。
したがつて、第一引用例記載の発明において、検索の高速化を図るため、そのトラツクを第二引用例記載の溝状トラツクに代え、その際回折光を受光可能な周知の光学系を採用し、相違点(一)に係る本願発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことというべきである。
なお、原告は、右の容易想到性がないことの根拠として、第二引用例の連続的な一様深さの溝状トラツクであるガイド溝は、記録、読出しに際して記録エラー、読出しエラーのないようにトラツキングのために用いるものであり、本願発明のように、記録するために溝状トラツク未紀録部分の任意の位置ヘランダムアクセスしてそこに記録するものではないことを主張している。
しかし、そもそも、原告主張の効果は前掲甲第三号証を検討しても、本願発明の明細書には何ら記載がされていないものであるのみならず、それは案内トラツクを設けることに伴う必然的な効果であり、かつ、案内トラツクは第二引用例により公知のものであると認められることからして、原告主張の右の点は、何ら前記の容易想到性の判断を左右するものではない。
よつて、相違点(一)の判断の誤りをいう原告の主張は理由がない。
五 相違点(二)に対する判断の誤りについて
原告は、審決がトラツクの有無の検出に±一次回折光が用いられることが技術常識であると認定したことを誤りとし、また、トラツクの横断方向の検出に±一次回折光を用いることは技術常識ではないとして、もつて、当業者が、本願発明において、トラツクの横断方向の検出に±一次回折光を用いることを想到することは容易であると判断したことの誤りを主張する。
しかし、まずトラツキング(これは、ビーム光を所定のトラツク、セクターに導くことを意味するものである。)のために±一次回折光を用いることが技術常識であることは、原告も争つてはいない。
そして、成立に争いのない乙第一号証によれば、昭和五二年特許出願公開第六二〇三七号公報には、「各検出面からの信号出力和でビデオ信号を検出し、出力差でトラツキング信号を検出する」(二頁左上欄一一行ないし一三行)、「第2図にトラツク信号検出の原理を示す。刻印16-1のエツジをスポツト17が照明すると、光検出器9、10上で反射回折光強度分布は20のようになり、刻印16-2の場合には21のようになる。このように刻印の左右エツジの照射に対応して反射回折光の左右アンバランスが生じる」(二頁右上欄一〇行ないし一五行)と記載されており、±一次回折光を用いてトラツキングをすることが開示されていることが認められる。
そして、このように、±一次回折光を用いてトラツキング信号を検出するということは、当然トラツクの有無の検出もしているものである。
したがつて、トラツクの有無の検出に±一次回新光が用いられることが技術常識であると認定したことに誤りはない。
また、第一引用例には、「反射光」を用いてトラツク横断方向の検出を行う構成(<6>)が記載されているが、前述のとおり、第一引用例は、そめ反射光が回折光である構成を採用することを排除するものではない。
そして、公知の連続的な一様深さの溝状トラツクを読み取るには、回折光を用いることが必要であることは原告の主張するところであり、被告もこれを争わない。
そうであれば、第一引用例記載の発明において、トラツクとして公知の連続的な一様深さの溝状トラツクを採用し、そのトラツクの横断方向の検出に±一次回折光を用い(回折光を用いることと、その回折光として±一次のものを用いることの双方の意味を含む。)、もつて相違点(一)、(二)に係る本願発明の構成を得ることを当業者が想到することは容易であるというべきである。
したがつて、審決の相違点(二)に対する判断に誤りはない。
六 以上のとおり、原告の審決の取消事由についての主張はいずれも理由がなく、審決に原告主張の違法はない。
第三 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条の規定を各適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 竹田稔 裁判官 成田喜達 裁判官 佐藤修市)
別紙図面一
<省略>
別紙図面二
<省略>
別紙図面三
<省略>